京都のお盆は、お精霊さん(おしょらいさん)のお迎えに始まります。
お精霊さんのお迎えといえば、六道珍皇寺の六道参りが有名です。>>>京都|六道まいりでお精霊(おしょらいさん)のお迎え
六道参りのあと、五条通りの陶器まつりに行って帰るのが京都人のお盆の習慣です。
しかしお精霊さんのお迎えは六道珍皇寺だけでなく、その他のお寺でもあります。
その一つに、千本ゑんま堂である、引接寺( いんようじ)のお精霊さんのお迎えがあります。
六道まいりは毎年8月7日から10日で、お盆より少し前に終わりますが、千本ゑんま堂のお精霊さんのお迎えは8月7日から15日までと、少し長くされています。
そして六道まいりはお迎えだけなのに対し、千本ゑんま堂では16日に送り(午前8時から午後6時まで)もされています。
今年は日にちがなく、六道参りの10日までに行けなかったのでどうしようか思っていましたが、千本ゑんま堂のお精霊さんのお迎えがあるのを知り、そちらに行くことにしました。千本ゑんま堂は六道珍皇寺とは全く様子が違い、ひっそりとお精霊さんをお迎えする感じでした。
初めての千本ゑんま堂でのお精霊さんのお迎えなので、勝手がわからず辺りを見回してみると、袈裟をさげた多分檀家さんのお手伝いの方だと思うのですが、その方にお聞きすると、笑顔でとっても丁寧に教えていただきました。その笑顔が素敵で、心が温かくなりました。
お精霊さん(おしょらいさん)お迎えの順序
まず本堂で水塔婆に戒名を書いていただき、おろうそくとお線香を備えてお参りを済ませ本堂から出た奥に水塔婆を流しに行きます。
そこで「閻魔様のお印」を押していただきます。
お印をいただいた後、右のほうに行きお地蔵様にお参りをしてから後ろに回り、水塔婆をお水に流します。
水塔婆を流す前に、柄杓で水塔婆の上のほう(頭のほう)から下にかけて、3回水をかけてから川下のほうに上のほうを向けて流します。
沢山のお地蔵様に見守られて、叔母の水塔婆は少しずつ流れていきました。
水塔婆を流す場所には、ゑんま様とお地蔵さまは同じ仏さまですと書かれていました。
ゑんまさまは、とっても怖い形相をされていますが、本当はとっても優しい仏様なのだそうです。死者を地獄に送るか天国に送るかがゑんまさまお仕事ですが、三悪道(地獄・飢餓・畜生)の道にに行かせないために怖い形相で地獄の苦しみを語り、「嘘をつくと下を抜くぞ」ということを言われているそうです。
そして出口を出て、梵鐘をつきに行きます。
一霊に1回梵鐘をつきます。
千本ゑんま堂の梵鐘は、京都市指定文化財に指定されています。
このようにしてお精霊さんのお迎えを、今年も無事に終えることができました。
六道まいりと千本ゑんま堂のお精霊さんのお迎えを経験しましたが、
故人をひっそりと偲んでお迎えできるのは千本ゑんま堂だと感じました。